5分でトレンド把握!ネットにおける消費者行動の変化。SNS・個人重視時代

Web系の技術やサービスというのは日進月歩の世界であり、めまぐるしいスピードで変化が生じます。新しい技術やサービスで出来ることが増えると、それを利用して新しいマーケットやトレンドが生まれます。

タイトルにある通り、SNSと個人が大事ですという結論ですがこの記事ではWhyの部分とどうしてそうなったかという部分の解説となります。

これを通して、Webマーケティングにおける最近の変化と現状の把握をしていきます。

消費者行動はどう変わったか

少し前であれば、AISCEAS(アイシーズ)の法則というものがありましたが、それが現在ではSIPS(シップス)の法則に変わっています。

MEMO
AISCEAS……2010年頃までの消費者行動の流れ。インターネットでの「検索」を軸としたモデル。

SIPS……2010年頃からの消費者行動の流れ。ソーシャルメディアでの「共有」を軸としたモデル。

「アイシーズ」の呼び方は様々であり、これに似た細かいものまで含めると枚挙にいとまがないため、ここでは代表的なものを選びました。

ろっこ

実はこのシップスの法則でさえも既に次の段階へと移り変わっているという言説もありますが、その次の段階もシップスを核としている構造ですので、ここではシップスを最新のトレンドとします

さて、ではアイシーズがシップスへと移り変わって、具体的に何がどう変わったかと言えば、消費者の購入までのステップが極端に少なくなり、購入してからの行為が重要になったというところです。

消費者を無理に煽らずとも購入段階へと自然と進むようになった理由は色々あるかと思います。

お金が余り始めた
スマホの普及によりネットが広く行き渡り、情報が無料or安くなった(消費者リテラシーの向上)
中古市場、シェア市場の拡大に伴い、欲しいものが安くなった

では、「商品を購入してもらうまで」に注力する代わりに今度は何に注力すべきかと言えば「消費者の購入体験」です。

購入体験の設計図

「購入体験とは何か」「何が大切か」という話ですが、「購入者が高い効用(満足度)を得られたか」に尽きます。

高い効用を達成できると、消費者は購入した商品を広める方向に進んでいきます。

アイシーズとシップスの本質的な違いはここにあり、アイシーズが購入までを目標とするのに対して、シップスでは購入後の流れを目標としているわけです。

アイシーズとシップスの根本的な違い

アイシーズでは購入前段階を、シップスでは購入後段階を核とした設計というところが根本的な両者の差となっています。

シップスには参加というフェーズがあり、それに基づき「消費者」を「参加者」として考え、参加者には4つの段階があるともしています。

STEP.1
参加
認知段階。このフェーズを経て、各人が応援、支援、伝道のどこかに進むよう画策します。
STEP.2
応援
コンテンツ(ブログ記事、YouTube動画、ライブ配信など)を見てくれたり、商品を購入してくれる。
STEP.3
支援
YouTubeのスーパーチャットを始めとする投げ銭や西野亮廣氏や堀江貴文氏で有名なオンラインサロンなど消費者による支援。
STEP.4
伝道
コンテンツを消費者の手で拡散・共有してもらう。この要素をふんだんに盛り込んだのがプレゼント企画など。


そして、伝道者となってくれた人の口コミを見て、また別の誰かが参加者になると言うもの。

少し前からバイラル(口コミや拡散)が重視され始めましたが、これからのマーケティングのキーとなる「消費者の購入体験」の中にはバイラル要素もゴールとして設定されているため、バイラルを重視する流れはより加速していくでしょう。

ろっこ

ちょっと難しい話ですが、少し前から顧客満足度よりもNPS(ネットプロモータースコア)が重要視され始めたことからWebマーケだけでなく、大企業でもシェア方面には着目していることが伺えますね

また、アイシーズからシップスへの変遷において、Web担当者が何より注目すべき点は「検索」がなくなったというところです。

「検索」という行為の実態

皆さんはどんな時に検索をするでしょうか。

基本的に人は何か知りたいことがある時に検索をかけますね。

ユーザーの知りたい内容は単純な情報から口コミなど多岐に渡りますが、知りたい内容を聞ける人が近くにいたらどうでしょう。

ろっこ

知りたいことに詳しい友人などがいたらその人に聞いちゃいますよね

このように、検索ユーザーというのは、信用できる生の情報源をあたり、それがアテにならない/そもそもない時に検索を使います。

だってさ、栃木の温泉に関する情報なんて、手元にガイドブックがあれば、まずはそっちを見るだろ?おそらく、検索エンジンを使って情報を探す人は、手元に情報がないから、仕方なしに検索エンジンを使ってるんじゃないか、って。

沈黙のWebライティング 〈SEOのためのライティング教本〉

どんなに優れた宣伝も、家族のひと言にはかなわない。

どんなに優れた広告も、仲間の勧めにはかなわない。

どんなに優れたマーケティング戦略も、個人と個人の繋がりにはかなわないのです。

「3つのF」が価値になる! SNS消費時代のモノの売り方

そのため、知り合いが多い人は検索に出てくる情報でなく、知り合いの情報を当たります。

2010年、この「検索<知り合い」を裏付け、おまけにネット史に残るような出来事があります。

それはFacebookのアクセス数がGoogleのアクセス数を上回ったという事例です。

頭のいい人であればここで既出の情報と結び付けられたかもしれませんが、このアイシーズ(検索重視)からシップス(SNS重視)の転換期はいつと表記したでしょうか。

2010年です。この2010年を境にトレンドは動き、SNSが重視され始めたのです。

時代の変遷に伴い変わり始めた消費者の認知・購入経路

アイシーズからシップスへの転換を経て、新しく一つの大きな職業が生まれました。

それこそインフルエンサーです。

MEMO
インフルエンサー……ネットやSNSで多大な影響力(フォロワー)を持つ個人

YouTuberやブロガーなど、個人でありながら大企業や芸能人のような影響力・知名度を持つ人々が台頭し始めました。

彼/彼女らの最大の特徴は親近感です。テレビなどで見る芸能人と一般人には大きな壁がありますが、インフルエンサーはそれらを取っ払い、気取らない等身大の自分を見せているため、「知り合い」のようなポジションに陣取り、上手にセールスを行なっています。

また、以下のグラフを見てみて下さい。

引用:「女子高校生の韓国コスメに関する興味関心と購買行動」

こちらは高校生を対象にどのメディアやサービスを媒体に商品の情報収拾をしているかというグラフです。

1位〜3位のInstagram、YouTube、Twitterはまさしくインフルエンサーが幅を利かせている媒体です。

インフルエンサーだけではなく、友人ともSNSで繋がっている人が多い時代ですから、情報収集や購入をSNS経由でするというのは当たり前の流れかもしれません。

ろっこ

私の友人でも検索はGoogleでなく、インスタやツイッターを使うという人はかなり多くなっています。ユーザーの生の声を聞けるのが良いそうな

余談のような形にはなりますが、YouTubeもSNS色が強くなりそうなサービスの変更点が徐々に増えてきています。

もちろん、だからと言って完全にWebサイト、自社メディアサイト、個人ブログなどが死んでくるかといえばそんなことはないかと思います。

どこかで変化や流行についていけなくなる人は必ず一定数いますし、そういう人はGoogle検索から離れずにいるでしょう。

ろっこ

高校生の時の流行の移ろいの早さは尋常でなかったけど、平然とついていけてました。今はもう……。そういうことですね

また、自分のサイトというのは自由に表現ができる分、ブランディングには持ってこいの場です。

結局、どういう展開が必要になってくるか

ここまでは少し複雑で難解な表現も使ってしまいましたが、重要なのは「結局なんなのか」「何をすべきか」ですよね。

複雑化しても意味はないので、ここからはトレンドを単純に分解して理解を深めていきます。

トレンドとしてはタイトルにある通り、「SNS経由の購入が主流になる」ということ。そして、それに伴い「SNSでフォロワーを多くもつ個人が強くなる」ということです。

そして、ただ、商品を売り切るだけに重きを置くのではなく、購入体験の向上を図り、満足度ひいてはNPSを意識するということです。

あまりピンとこないかもしれませんので、いくつか実例を出します。

前澤さんの1億円企画

株式会社ZOZOの取締役である前澤さんが100万円を100人に配るという総額1億円にのぼるプレゼント企画をツイッターにて行なっていました。

参加条件は該当ツイートのリツイートと前澤さんのフォローのみ。

これによりもともと約50万人だったフォロワーはピーク時で600万人超になりました。「購入」ではなく、たかが「リツイート」と「フォロー」とはいえ、消費者にアクションを起こさせたと言う点では同じ構造でしょう。

また、良い意味でZOZOの知名度を上げることにも成功したと言えます。

ライブ配信による物販

これはまさしく先ほど言及したSNS経由での商品の購入です。

先日、知り合いに見せてもらったのですが、個人で物販を行なっている人がライブ配信中に企画や商品紹介を行い、参加者を巻き込む形でコンテンツ(ライブ)を作っていき、ライブ中に紹介した商品をライブの画面から1タップで商品購入画面へ飛ぶことができるというものです。

商品は飛ぶように売れ、アクティブユーザーは100〜1000人。ユーザー側もどの商品がそのライブから売れているかをチェックできますが、CV率が異常な高さを誇っていました。

ライブ配信の内容だけ切り取ってしまえば直接的な営業行為とも言えるのですが、そこを上手く隠すような面白い/楽しいパッケージングをし、視聴者参加型のライブ配信をすることで拡散も狙える。

分かりやすく言うならバラエティ番組構造のジャパネットタカタとも言える非常に良いモデルでした。

SANGO

サルワカさんが販売するSANGOという商品です。

MEMO
サルワカ……Web制作や料理、暮らしの知恵などに関する個人メディア。ツイッターアカウントには6600人ものフォロワー(2019/1現在)

このSANGOという商品はアフィリエイトプログラムやGoogle広告を始めとするWeb広告を用いておらず、自身の持つフォロワーと商品の質だけで勝負を始めました。

その商品の質の高さから口コミでも大きく広がり、バイラル拡散にも成功。試しにツイッターでSANGOと検索をかけると山ほどの口コミが見つかるはずです。

そうして、1万円という高額な商品でありながらも6000部を売り上げました。

この記事の内容まとめ

・GoogleユーザーよりもSNSやリアルの繋がりからの情報収拾が盛んになっていく可能性を意識する

・SNSやリアルの繋がりに上手く入り込めるような参加型の購入体験を設計する(インフルエンサーを使う/プレゼント企画など)

・質の良いものを適正な価格で

かなり曖昧な話にはなってしまいますが、少し前であれば情報が氾濫し、ある意味無秩序のような状態でした。そこで、消費者の情報不足に漬け込むような悪どいビジネスの方が儲かっていました(情報商材など)。

しかし、無料かつ優良な情報の増加に伴い、ある程度の秩序が形成され、消費者リテラシーの向上に貢献し、悪どいビジネスよりも質の良いもの、面白い売り方を消費者が好むようになったというようなイメージです。

また、これは商品(単純な売り上げ)だけに留まらず、値段が付いていないもの(知名度や信用など)を広めるためにも使われる手法だということは抑えておきましょう。

少し間口を広げた記事であるため抽象的な箇所もあるかと思いますが、何かお役立ちできたなら幸いです。